神様を祀る神棚と神様の食事の「御神饌」
あなたの家には神棚がありますか。
僕の子どもの頃には、家に神棚と仏壇がありました。
神棚の作法
その神棚と仏壇に毎日水とご飯を父がお供えしていました。
ご飯は生のコメでもよいとされていたようですが、我が家では炊きたての手を付けていないものを一番最初にお供えしていました。
お神酒も時々上げていたようでした。
神棚は神社からいただいてきたお札に、神様の力が宿っているとされていて、そのお札を祀るための場所が神棚です。
江戸中期以降に伊勢神宮への「お伊勢参り」が始まってから盛んになったようです。
伊勢神宮は、なんといっても全国の神社の頂点に位置づけされていて、そのため、そこでいただくお札は、強い力があると考えられ、そのお札を手に入れた人は、お札持ち帰り家の中で祀るようになりました。
日本人にとって古来からの風習であり、毎日、手を合わせることで神様の力添えをいただき、お守りいただける尊い行事でもあったのでしょう。
伊勢神宮と御神饌
伊勢神宮では、「御神饌・ごしんせん」といって、神様に捧げる食事のことを指しています。
難しい漢字の御神饌の「饌」は、辞書によると ”そなえもの” とか ”飲食する” という意味で、これに神がつき、神様へのお供え物ということになります。
基本的なお供え物として「水、塩、米、酒」があり、御神饌の並びは左から「水、米、塩」の順ですが、地方によっては変わることもあるようです。
お神酒は両脇に置き、榊も両サイドにお供えします。
作法は地方によっても違うようですが、伊勢神宮では、水、米、塩は、毎日交換し、酒・榊は毎月の1日と15日に交換しています。
伊勢神宮では忌火屋殿(いみびやでん)という場所で米の調理が行われ、「お米は蒸したものをお供えする」という特徴があります。
伊勢神宮の自家栽培と調理
伊勢神宮での御神饌の食材のお米は、お供え専用のお米を栽培する「神宮神田」があり、伊勢神宮で使われるお米はすべてそこで栽培されています。しかも2か所あり田植えの時期もずらしています。
また、野菜や果物を栽培している「神宮御園」があり、季節ごとの物を確実に収穫できるように計画的に多品種を栽培しています。
塩も海水を汲んで作る昔ながらの製法で「御塩殿」という塩を作るための神社もあります。
そして調理ですが、みそぎを終えた神職さんが装束にを包み調理に取り組みます。
水は神聖な井戸水を汲み上げ、ガスコンロはなく火をおこすところから始めるのです。
調理されたものは毎日2回、御神饌として塩、米、酒の他に季節の野菜、旬の果物、かつお節や海藻、干した鯛なども供えられます。
大変なごちそうですね。
これを、これを「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」と言い、1500年もの間途切れずに続けられています。伊勢湾台風の時も行われていたと言います。
神嘗祭
御神饌の「水・米・塩」は、まさに日本食の原点ですね。
特にお米は、日本の主食であり大切な特別なものです。伊勢神宮ではお正月よりも大事なお祭りのお米の収穫祭を10月に「神嘗祭・かんなめさい」を執り行いします。
神嘗祭は神宮で最も古い由緒をもち、天皇陛下の大御心を体して、天照大御神に新穀を奉り収穫の感謝を捧げる祭典です。
お供え物の作法を確認し、神様に喜ばれるお供えをしましょう。
お供え物を下ろして食べることを「直会・なおらい」といい、神様の恩恵をうけることもいいですね。