ジャパニーズ・ハーブのひとつ「イグサ」
「イグサ」
「ジャパニーズ・ハーブ」と呼ばれる古くから日本にあるミツバ、ワサビ、ミョーガ、シソ、ショーガなどがあります。
多くの日本人がその香りに親しみを持ち暮らしていたことか。
その「ジャパニーズ・ハーブ」と呼ばれるのに最もふさわしいのが、イグサです。
イグサは北半球の温帯の湿地に生える植物で、日本、朝鮮半島、台湾、中国に分布し、日本では熊本県や岡山県、広島県などで多く栽培されています。
標準の和名は、藺草(いぐさ)「イ」で、最も短い標準和名としても知られている。
他にも2種類あり
- 荏胡麻(えごま)の「エ」
- 茅萱(ちがや)の「チ」です)
イグサはご存知、畳表やムシロ、ゴザや草履、枕や帽子などをつくるのに使われている。
また、ロウソクや行灯(あんどん)、灯明などの火を付ける芯に使われることから別名をトウシンソウ(燈芯草)という。
イグサはイグサ科の多年草植物で、植物としては珍しい姿で、先のとがった細い茎ばかりが束になったような姿をしている。
まるで、針だらけのヤマアラシが頭から泥に突っ込んだようなものと表現されている。
1980年頃のイグサの栽培面積は9000ヘクタールほどあったが、2017年には大きく減少し、その10分の1に減り900ヘクタールほどになってしまった
日本のイグサの国内生産の約8割を熊本県の八代地方で、歴史的な文化財の再生にも使用される高級品を出荷している。
近年、中国などの外国産の安価な畳表が多く輸入されるようになり2001年にはネギ、生しいたけとともにセーフガードの暫定処置の対象となっている。
2007年以降、畳表の供給量に対し国産の畳表の割合はなんと20%前後まで低下してしまった。
住宅居室の洋風化も進み、和室が少なくなり、畳の需要も激減してイグサの生産農家が減少し続けている。
近年になり自然素材の見直しや健康志向の高まりで、再び価値に注目を集めている。
熊本県農業研究センターが九州大学との共同研究で、イグサの放つ香りのリラックス効果を発表しました。
それによると、イグサの主な香り成分「ヘキサナール」とよばれる草の香りが約30%程度を占めています。
「青畳」の香りといわれるのは、この香りが中心なのです。
また、バニラの香り成分「バニリン」も微量に含まれています。
中国産のイグサでは、香り成分が日本産と比較して弱いことがわかっています。
イグサには、空気中の水分を吸収する性質があります。
6畳の和室で、雨降りなどの湿度が高い日には、1日で約2リットルの水を吸収します。
逆に、乾燥しているときには、イグサに含まれる水分を放出します。
この作用で、畳のある和室では、室内の湿度を適度な状態に保つことができます。
イグサの断面をみるとスポンジのようになっていて、その中に水分をため込むことができるからです。
さらに、イグサは水分だけでなくホコリや微量な成分も吸着させることができます。
その中の一つに、シックハウス症候群の原因ともなる「ホルトアルデヒト」という物質があります。
またイグサは、ホルムアルデヒドだけでなくアトピーなどのアレルギーの原因となる物質も吸着することが知られています。
イグサの香りには人をリラックスする効果があり需要拡大を目指している。
近年、健康志向とともに見直されていることがよくわかりますね。
地元では、更なる品質向上に「イグサ研究室」を設け、イグサ茶や茶室、内装材やアイスクリームなどを開発し、さらに食事の後に食べられるイグサ箸も開発した。
昔から伝えられている生活にも健康にも環境にも「いいもの」を積極的に使っていきたいものですね。
参考:Wikipedia、かぐわしき植物たちの秘密(田中修・丹治邦和著)