バイオミメティクス(生物模倣)が大注目
バイオミメティクス(生物模倣)
生物が持つ優れた機能や構造、製造プロセスを観察、分析し模倣するものでそこから新しい技術の開発や物造りに活かす科学技術のこと。
「バイオミメティクス」は日本語表記では「生物模倣技術」「生物模倣」と呼ばれている。
まさに読んで字の通りで、生物から得たものを真似して科学的に応用していることです。
これがたくさんあるし、ほんとに助かっているものも多いので驚きます。
その「バイオミメティクス」は飛躍的な発展を遂げている注目の分野です。
- 古くは、人間の夢であった空を飛ぶことに鳥を観察し続けたレオナルド・ダ・ヴィンチです。
- そして、1903年にライト兄弟が初めて空気より重い飛行機を飛ばした。
ライト兄弟は飛んでいる鳩の観察から発想を得たと言われている。 - 1930年代に絹糸を参考にして化学繊維のナイロンが生まれた。
- 国際的な水着メーカーのSPEEDOはサメの肌の特徴を模倣して水の抵抗を低減した水着「ファーストスキン」を開発した。
- 関西大学システム理工学部の青柳誠司教授が蚊を模倣して痛みの少ない注射針「マイクロニードル」を開発した。
- 野生ゴボウ(オナモミの仲間)の実のトゲの形模倣して衣類に使われる「面ファスナー」が開発された。
- 夜行性である蛾の目のモスアイ構造(光を反射しない上、月の光を効率的に取り入れられ)を再現した物質は、パソコンやテレビ画面の反射防止、太陽電池などの光吸収率を上げるための反射防止膜としても使われるようになった。
- アメリカ人の生物学者、ケラー・オータム博士の研究チームは、ヤモリの足裏が有する独特の繊維構造と、壁に働くファンデルワールス力から驚異的な接着力が生み出されていることを解明した。
- 日本では日東電工株式会社と大阪大学が、カーボンナノチューブ(CNT)を用いてヤモリの足裏の構造を再現した「ヤモリテープ」を開発。
強力な接着力と、必要なときに簡単にはがせる性質を併せ持つ上、接着面を汚さない、どんな被着体にも接着できるなどの特徴を持つ。 - 40年前から蛇の動きを研究しメカニズムを分析し蛇型ロボットを開発それから改良が重ねられ人が入れない場所などにも遠隔装置で活躍できる多機能ロボットとして使用され、今後も期待されている。
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水中を高速で泳ぐマグロの、水の抵抗が小さい皮膚の特性を利用して船舶用塗料が開発された。
マジックテープ
スイス人のジョルジュ・ド・メストラル氏は、野原を歩き回って、愛犬の毛や自分の服に“ひっつき虫”がくっついているのに気がついた。
“ひっつき虫”はよく見かけるが、発明家であったメストラルは「どうしてくっつくんだろう」と興味を持った。
そこで、顕微鏡で観察し、フック状をした“ひっつき虫”の先端が繊維にひっかかり張り付くことを知った。
「この植物が付着する原理を応用すれば取り外し可能なシートができるかもしれない」と思いついた。
このひらめきから生まれたのが、衣類の着脱を容易にする「面ファスナー」です。ワンタッチで取り外しができる便利さから世界中に瞬く間に広がり、日本では「マジックテープ(クラレの登録商標)」の名で広く知られるようになった。
1990年代に電子顕微鏡が普及するとマイクロメートル(1/1000mm)やナノメートル(1/100万mm)という微細な領域で生物のもつ構造を観察することが可能となった。
そしてその構造をナノテクノロジーによって人工の物質で再現し、新たな価値創造へつなげる。
これが、次世代の生物模倣、バイオミメティクスの技術です。
近年、こんな話題の物が発表された。
ドイツのフェスト社の「BioniCopter」というトンボを模倣して開発された飛行ロボットです。
トンボの2対の羽を別々に動かすことから発想しスマホで運動制御を精密に操作することができる。
動画や詳細は「BioniCopter」
いろいろなものが開発されているのでびっくりですね。
地球上に生物は約173万種類も存在すると言われている。
生物や自然から模倣できるのは、無限に近い資産を持っているということです。
人類が抱える難問題を解決していくことに期待が寄せられている。