熱気球で「太平洋横断遠征」に挑戦記録・その1
暖かい空気は冷たい空気よりも浮く、という単純な仕組みを活かして飛ぶのが熱気球です。
その熱気球の球皮(きゅうひ・熱気球の風船部分のこと)に空気を送り込み、その空気をバーナーで熱することによってゴンドラと一緒に徐々に浮き上がっていく。
やがて垂直に立ち上がり,人が乗り込み気球は飛び立つ前の状態となる。
ここで紹介するのはアマチュアの冒険家と言って良いと思いますが、神田さんという役場に勤めながら有給休暇をフル活用して熱気球でフライトを楽しんでいる。
一般的には熱気球を楽しむ人たちは競技会などに出ているが、神田さんは、もっぱらフライトをしている。
今回、僕は冒険家と思っている写真家の石川直樹氏が神田さんの依頼もあり、熱気球の免許を取得しつつ「太平洋横断」という計画に賛同し、計画の実施に向けて練習に明け暮れていた。
神田さんの計画によると、高度1万メートル付近を流れる偏西風(ジェット気流)に乗って、時速150〜200キロで東にお向かい、約60時間で北米大陸の「どこか」に到着する。
成功すれば世界で2番目、日本では初めての快挙になるという。
お金をかけて気球を作れば最新鋭の機器で、密閉された室内は気温調整のできる機密ゴンドラ、高性能な自動操縦装置で優雅なフライトとなるが、数億円の費用がかかる。
神田さんは限られた予算のため、球皮の生地を自分で選び、仲間にで協力をしてもらいミシンで縫い合わせ、ゴンドラはビルの屋上などにある貯水タンクを改造して作るという。
貯水タンクは機密式ではないため、身体は高度1万メートルにさらしながら飛行することになる。
いくら、気球のことを知らなくても、この話を聞いただけで、大変なことだということは推測できますね。
石川直樹さんは、以前にも投稿しましたが、
- 高校生の時にインド一人旅
- カヌーでアラスカの山と川の旅
- POLE TO POLEで北極から南極へ地球縦断の旅
- ミクロネシアの星の航海術でカヌーで海の旅
- チョモランマなど7大陸最高峰へ登頂
など、まさに冒険家としての行動をしていました。
その経験をかわれたのでしょう、神田さんから純粋で迫力のある言葉で誘いを受け、なんとその場で受諾したのでした。
広大な空の風は、上空では何層にも分かれていてそれぞれの層の風の流れは一定方向ではないし、風のスピードも違う。地上で感じる風向は、空高くまでずっと同じ方向ではない。
気球は風まかせのイメージがあるけれども、風を読んで、経験と技術力でコントロールすることによって気球を操ることができる。それが優れたパイロットになるわけです。
海では複雑な潮の流れがあるように、空では幾重にも分かれた風の流れがある。
風を読むには、風船を飛ばしフワフワと上空に飛んでいく風船を追い続けることで風の方向とスピードを事前に読む事ができる。また、街の煙突の煙を見て多少の判断もできる。
しかし何といっても、自分の勘で風を読むのが一番です。そのためには何度も何度も飛行を重ね、経験を積んで微妙な気球の動きや風の微妙な変化を感じとる。
もうひとつ、気球は短時間にに8000mの上空に到達するので低酸素状態に順応させることが必要で酸素マスクをつけて飛行するが万が一のために低酸素室に入り3000m、5000m、6000mの設定にして腹式呼吸をし寝泊まりをして体を慣らした。
本番へのカウントダウンが始まろうとしていた。
ちょっと想像するだけでも気が遠くなるような気がしますね。
そろそろです・・・続く
参考:最後の冒険家(石川直樹著)