日本伝統の礼法「左上位」国際的には「右上位」
日本には「左上右下・さじょううげ」という「左を上位、右を下位」とする伝統的な考え方があります。
左上位の考え
これは、中国から伝わった思想の一つで「皇帝は北極星を背にして南に向かって座るのが善い」という。
そして太陽は皇帝から見ると、左からの東から昇り、右の西に沈みます。日が昇る東の左の方が日の沈む西の右よりも尊いという考え方から「左上右下」の考え方が生まれたようです。
この考え方が伝わったのは飛鳥時代と言われ、日本では現在でも受け継がれています。
言葉の中にも「右に並ぶものはいない」と各分野でその人より優れた人はいないなどの表現として使われていますね。この時は王に対して家来から見て右と言っています。
最も偉い人が一番左にいて、見ている人からは、一番偉い人の右には誰もいないことになるのです。
ごはんの位置も
「左上位」の伝統の考え方は身近なお弁当にも表れていて、重要な主食である「ごはん」を左に配置するようになったと言われています。
ところが、この伝統の日本の食文化に変化が起きている。それは、スーパーやコンビニなどのお弁当には、ごはんの位置が左ではなく、右に配置されているようになってきた。
配置の研究
インターネットが普及しホームページ制作でのコピーライティングなどでは、どのように図やキャッチコピー、特徴を配置すれば読者が興味を持ってくれるのか、好まれるのかの研究がすすんでいます。
とても素晴らしい写真やコピー文章でもちゃんと読んでくれなければ何の意味もありません。
私たちがチラシを見ずにそのまま捨ててしまうことがありますが、このような見られもせず読みもせずのコピーライティングではいけないのです。
コピーライティングでは図や文字の配置、レイアウトの時に「Zの法則」を意識して作成しています。
Zの法則とは
Zの法則とは、チラシやポスターなどの紙媒体で、人の視線が「左上」「右上」「左下」「右下」にZの形のように動くということです。
このようにまず、大まかに確認するときに、内容が頭に残りやすくする方法です。
ということで、お弁当ではごはんを左から右に移して、メインのおかずを左に配置するようにしたのです。これにより売り上げがアップしたと言われてます。
また、お弁当の右下には値段や内容を記したシールを貼り付けることが多く、従来の左ごはん右おかずだとシールにおかずが隠れてしまうこともあり、ご飯とおかずを逆に配置したという。
日常の左上位
「左上位」は日常での作法でもよく使われている。
- 和服の着方などは最たるもので、「右前」は自分から見て左襟を右襟の上にして着る作法。
- 襖や障子のはめ方も、襖や障子から見て左側を前に出すのが日本家屋での基本中の基本の作法です。
- 舞台の左側を「上手」、右側を「下手」と呼ぶ。客席から見ると右側が「上手」、左側が「下手」となる。
ややこしくなりますが、あくまでも並ぶ当事者から見て左側が上位となることを覚えておくと理解しやすいです。
西洋では日本と逆
ややこしいと言えば、西洋では右を「正しい」の意味を持つ「right」と言うように、日本とは逆になる「右上位」が基本となります。
このことが、国際社会でもルールとなり、外交などの国際舞台や主要国首脳会議(サミット)での立ち位置などは、この国際儀礼(プロトコル)の右上位をマナーとしている。
オリンピックの表彰台は、中央に金メダリストが立ちその右側(向かって左側)に銀メダリスト、左側(向かって右側)に銅メダリストが並ぶ。
日本では、明治時代に皇室が公式行事に国際儀礼を取り入れたことで、左上位と右上位の世界が混在している。これがわかりにくくしまっているようです。
現在では、あまり深く考えず、その場に合わせた雰囲気で気分よくすることが一番です。